着物に興味はあっても、裏地は読み方も難しいし種類も多くて覚えられないですよね。
たくさんある裏地ですが、それぞれどのような役割があるのでしょうか?
今回は、着物を陰で支える裏地について種類と役割を解説します。
本記事を読めば、着物の縁の下の力持ちともいえる裏地についての知識を、今後の着物選びに活用出来るようになります。
裏地のそれぞれの役割を知ることで、着物により深く魅了されること間違いありません。
ぜひ最後までチェックしてみてくださいね!
- 着物の裏地について知りたい方
- 着物を着てでかけたい方
- 着物に興味がある方
目次
着物の裏地とは?
着物の裏地とは、着物の表生地の裏に縫い合わせられる生地のことです。
ただし、全ての着物が裏地付きというわけではありません。
まずは、実際に裏地がついている着物とついていない着物について解説していきます。
裏地のある着物
裏地のついている着物は、袷(あわせ)と呼ばれています。
コートの内側を想像してみてください。ツルッとした裏地がついていることはありませんか?
それと同じように、裏地のついている袷着物は、肌寒くなる秋〜春先にかけて着られています。
裏地のない着物
裏地のついていない着物のことを、単衣、単(ひとえ)と呼びます。
先ほどの袷着物とは反対に、裏地がついていないので、主に夏に着られている着物になります。
単衣というと平安時代の「十二単」を思い浮かべる方も多いかと思いますが、「十二単」は複数枚の衣を1セットとして着用しており、そのほとんどが裏地のある袷仕様でできています。
着物の裏地の種類と役割は?
次に、裏地の種類とそれぞれの裏地が持つ役割について解説していきます。
正式には、裏地ではないものもありますが、役割的には似ているのでぜひ参考にしてみてくださいね。
胴裏
「胴裏(どううら)」とは、胴(体の胸〜腹、背中〜腰)の部分の着物の裏側につける生地のことです。
着物の裏側にあり、尚且つ着用中は表側から見えることはないので、主に白色や白に近い薄いピンク色のしっかりとした生地を使用します。
しっかりとした生地をつけるのは、「着物自体を支える」「着崩れしにくくする」という役割が胴裏にはあるからです。
また、胴裏は汗腺が多く存在する背中や胸の部分の裏地なので、カビが生えたり黄ばんだりすることが多い為、定期的にお手入れをすることをオススメします。
八掛
「八掛(はっかけ)」とは、着物の裾部分につける裏地のことです。
八掛には、「歩行時に歩きやすくする」「傷みやすい袖口や裾の保護」という役割があります。
また、ちらりと表から見えることがあるため、細やかなおしゃれが出来る部分でもあります。
八掛という名前の由来は、並幅約3.8mの布を8枚に裁ち、それぞれ左右のおくみ(衿先の下の部分)に2枚、左右前後の身頃の裾に4枚、衿先に2枚ずつ使用していたことからきているんだとか。
現在は、袖口にも八掛がつけられています。
衿裏・居敷当て・背伏せ・肩すべり
胴裏や八掛は袷着物につけられる裏地のことですが、「衿裏(えりうら)」「居敷当て(いしきあて)」「背伏せ(せぶせ)」「肩すべり」は単衣着物につけられる布です。
単衣着物は裏地がついていない為、「縫い合わせ部分が緩んでしまう」「インナーが透けてしまう」「着席時に着物に負担がかかる」といった着物の補強を担う役割があります。
他の部分がキレイでも背中や腰などが擦れや綻びが原因で、早々に着れなくなってしまうのは悲しいですよね。
そんな悲しみを防ぐ、先人の知恵が詰まった仕立て方ではないでしょうか。
着物の裏地に使用される主な素材
次に、着物の裏地に使用されている主な素材を解説します。
「繊維の女王」と名高い高級品の絹は、着物においても、絶大な存在感があります。
繊細さと美しい光沢を放ちながらも、ツルツルとした肌触りや汗の吸水速乾、保湿力、丈夫さなど様々な点において重宝されています。
胴裏に使用されることが多いのもその特性からです。
安価なポリエステルですが、絹に比べて耐久性が高く表地もポリエステルであれば家庭でも洗濯をすることが可能な点で、裏地に使用されることがあります。また、経年劣化等での変色がありません。
現代の生活の中で老若男女問わず身近な生地である綿も、着物の裏地に使用されています。ポリエステル同様に、丈夫で肌馴染みがよく染色性も高いです。男性用の着物に使用されることが多いです。
着物の裏地に関するよくある質問
着物を長年着用していると、様々な問題が出てきますよね。
今回は裏地についてよくある質問について解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
裏地にシミ・きばみができた!
裏地のシミや黄ばみの主な原因は主に「汗」や「カビ」です。
絹の胴裏等でうっすら全体が黄味がかった色に変色している場合は、絹の特性によるものなので、すぐに対処する必要はありません。
斑点のようなシミや胴裏全体が茶色っぽくなっている場合は、カビ菌の繁殖や表地の着物への色移りなど影響があるおそれがありますので、早急に裏地の交換をする事をおすすめします。
裏地のおしゃれなリメイク法はある?
「祖母が着ていた」「母から譲り受けた」など、歴史をつなぐ着物。
しかし、「裏地の色が派手」「表地が無地なので裏地でおしゃれしたい」等、おしゃれなリメイクは人の数ほど無限にあります。
自分好みにリメイクして、世界に1つだけの着物を仕立てるのはワクワクしますよね。
また、まだ使える裏地ならキャミソールや小物入れなど生地自体をリメイクすることもできますよ。
まとめ
今回は、裏地の種類と役割についてご紹介しました。
一言で裏地といっても多くの種類とそれぞれ理にかなった役割がありましたね。
よく「おしゃれは裏地から」ともいいますが、見えないところにこそこだわりを持ってみると、今までとはまた違った着物の楽しみ方が出来るきっかけになるかもしれません。
本記事があなたの今後のより良い着物ライフへの参考になることを願っています。
着物に触れる機会をつくりませんか?
奈良県王寺町の一守匠堂は毎月のように着物に関するイベントをおこなっています。
着物に触れる機会を増やし、「お悩み相談」 や 「整理収納サービス」 など、着物の取扱い全般をおこなっています。
また一守匠堂ではオンラインショップも展開していますので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。
インスタグラムで情報の更新もしていますので、ぜひ覗いてみてください!
この投稿をInstagramで見る
着物のお困りごとはご相談ください
着物についての困りごとや疑問を誰かに相談できないかと考える人は多いです。
弊社では毎月のように店舗で「着物の展示会」や「中古市」を開催しています。
「着物を着てお出かけ会」なども主催しています。
着物の保管方法や販売方法、処分方法などのお悩みの方も、気軽にお問い合わせください。
奈良県王寺駅徒歩3分の場所にあり、奈良県内や大阪府、香芝市、大和高田市、広陵町、斑鳩町、平群町、王寺町、三郷町、河合町、上牧町などからも展示会の際にご来客いただいています。
奈良市や大和郡山市などからも来ていただけるよう、これからも着物について詳しい情報を配信していきます。
もし着物でお困りごとがあれば、こちらまで気軽にお電話ください!
一守匠堂(0745-44-3277)