着物染めの種類や染色方法とは?

着物には『織り』と『染め』があるのをご存知でしたか?

『織り』と比べて『染め』の着物は、模様も多く華やかで美しいのが特徴です

ですので"格の高い"ハレの着物には『染め』が起用されることが多いのだとか。

さらに『染め』には『型染め』や『手描き』など、技法もさまざまです。

そこで今回は、着物染めの”種類”や”染色方法”について紹介していきます!

この記事はこんな方にオススメ!
  • 着物に詳しくなりたい方
  • 着物に興味がある方
  • 着物染めについて知りたい方

興味のある方は、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね!

着物染めの種類とは?

まず着物の『染め』について。

『着物染め』の種類は2つあり、『染め』を行うタイミングで以下に分類されます。

  • 『染め』のタイミングが早い→『先染め』
  • 『染め』のタイミングが遅い→『後染め』

 

さらに、

 

  • 『先染め』の着物を『織りの着物』
  • 『後染め』の着物を『染めの着物』


といいます。

ちなみにどちらも”織り”と”染め”の工程は必ず行うので、名前に惑わされないよう注意しましょう!

例として、

 

  • 『先染め』→『絣(かすり)』
  • 『後染め』→『絞り』、『友禅(ゆうぜん)』、『江戸小紋』


などがあります。

以下より、それぞれの『染め』の特徴を紹介します!

【先染め(織りの着物)】の特徴とは?

『先染め』の特徴は、繊維・糸を先に染め、それを使用し布地を織り、着物の柄模様を表します。

 

いくつかの色の糸を組み合わせ、さまざまな模様や柄に対応するのだとか。

 

着物の『先染め』は一般的に”格が低い”といわれ、逆に帯で使用するのは”格が高い”とされています。

メリット
あらかじめ繊維・糸からしっかりと染めるため、色に深みが出たり、色落ちがしにくいです。

【後染め(染めの着物)】の特徴とは?

『後染め』の特徴は、染めてない糸で白い布を織りあげ、さまざまな方法で柄や色を付けます。

 

『後染め』の着物は"格が高い"といわれ、逆に『後染め』の帯は"格が低い"とされます。

 

すなわち『後染め』した着物と『先染め』した帯を合わせれば、”格の高い"コーディネートに!

 

逆に着物と帯の両方を『後染め』にすれば、とても華やかな雰囲気になります。

メリット

『先染め』と比べ色が定着しにくい分、色抜きもしやすいです。

着物は色抜きをして”紋”を入れたり、他の色に染めることが多いため、その点に関して『後染め』は便利です。

着物染めの染料の種類とは?

次に『染めの染料』の種類に関してです。

着物染めの『染料』は2種類あります。

 

『先染め』も『後染め』も、染める染料が必要ですよね?

その染料が『天然染料』と『化学染料』の2種類になります。

この『染料』の種類によって、色合いなども変わってきます。

【科学染料】の特徴とは?

『化学染料』とは、どちらかというと近年の染料のことをいいます。

ちなみに現在は『化学染料』で作られる着物が多いです。

メリット

色を数値化できて調整がしやすく、ある程度定まったレベルの質の色で染め上げることが可能です。

化学染料は量産しやすい技術が確立されており、その分安く供給ができます。

また1度できた化学染料は、2〜3年の長期保存も可能となります。

【天然染料】の特徴とは?

『天然染料』は、昔ながらの伝統的な染料を使用します。

主に自然に存在する色素成分を利用した染料になります。

 

こだわりを持つ職人さんが『天然染料』をよく使用するのだとか。

『天然染料』は以下の3種類があります。

 

  1. 『植物系』
  2. 『動物系』
  3. 『鉱物系』

 

以下より詳しく説明していきます!

 

①『植物系』

『植物系』の天然染料には『藍』があります。

『藍染(あいぞめ)』という言葉を聞いたことがありませんか?

 

藍染は昔からよく用いられた染料のため知名度も高いです。

他にも紅花』という天然染料があります。

紅花は名前の通り、発酵や乾燥させた花の紅色を染料として使用します。

 

②『動物系』

『動物系』の天然染料には『貝』があります。

『貝紫染め(かいむらさきぞめ)』といい、世界中で古くから用いられてきた技法です。

主に巻貝を使います。

実は巻貝からとれる染料は非常に少なく、現代の日本では『貝紫染め』は大変貴重な染色方法となっています。

 

③『鉱物系』

 『鉱物系』の天然染料には『泥』があります。

『泥染め』といい、奄美大島特産の大島紬(おおしまつむぎ)の染色で使われます。

しかも『泥染め』は世界中で奄美大島でしか見られない特殊な染色方法なのだとか!

 

『天然染料』は『化学染料』に比べコストが高いです。

しかしその分『天然染料』ゆえのメリットも多くあります。

メリット

『化学染料』は人体に害をなすもの(発がん性物質など)も存在しますが、『天然染料』は安全性が高いです。(※天然染料にも毒性がある物質も存在するので注意)

着物の染色方法とは?

 着物の染色方法は以下のとおりです。

 

  • 手描き染め
  • 型染め
  • 絞り染め


以下
より詳しく説明します!

【手描き染め】とは?

引用元:振袖ハクビ

『手描き染め』とは、柄を手描きする染め技法。

筆を使い下絵を描き、隣の色と混ざらないよう糊を置き防染します。

その後で、刷毛で色を入れます。

 

手描き染めで有名なのは『手描き友禅』や『ろうけつ染め』、『ぼかし染め』です。

高い職人的技術が必要とされるため、手描き染めの着物は高値で売買されます。

【型染め】とは?

引用元:銀座 かわの屋

『型染め』は渋紙などを切り抜いた型紙を使い、生地に細かな模様をつけます。

『小紋』は小さな柄を生地全体につける染め技法となります。

 

型染めで有名なのは『江戸小紋』や『伊勢型染』、『沖縄紅型』です。

柄が細かいほど”格が高い"といわれ、礼装によく用いられます。

【絞り染め】とは?

引用元:Pinterest

『絞り染め』は白生地をクリップでつまんだり糸で縛ったりして、染料が入りこまないよう防染し漬けこみます。

絞り染めで有名なのは『鹿の子絞り』です。

 

生地全体を細かく絞ったものは『総絞り』といいます。

総絞りの着物は生地を多く使うため、高値で売買されます。

まとめ

いかがでしたか?

今回は着物染めの種類や染色方法を紹介しました。

着物の染めの種類や発色方法についてまとめると、

  • 着物染めには、染めのタイミングが早い『先染め』と、タイミングが遅い『後染め』がある。
  • 先染めの着物を『織りの着物』、後染めの着物を『染めの着物』という。
  • 『先染め』か『後染め』かで”格”が変わる。
  • 着物染めの『染料』には『天然染料』と『化学染料』の2種類がある。
  • 着物の染色方法は『手描き染め』『型染め』『絞り染め』などがある。

とわかりました!

着物染め1つとっても、たくさんの種類や定義がありましたね。

ぜひ興味を持たれた方は、ご自身でも調べてみてください!

 

最後に、『一守匠堂』ではオンラインショップも展開しており、月に1度のイベントも開催していますので、ぜひ興味のある方に広がっていただければ幸いです。

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